1分おとぎばなし要約:【生殖記】朝井リョウ(著)/小学館

かっぴー
この本、主人公は尚成(しょうせい)っていう33歳の男なんだな。
はなたん
そうそう!でも物語の語り手は、尚成本人ではないんだよね。
かっぴー
え、じゃ誰なの?
はなたん
(コショコショコショ…)
かっぴー
そ・・それはまた、斬新な・・・。喋ってるところなんて、想像したことすらないよ。
はなたん
その語り手が物語の核心を担っていて、ほんと面白いんだよね。
かっぴー
核心かあ。多くの生物に、生まれながらにして備わってるモンだしね・・・
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1分おとぎばなし要約 【生殖記】

みどころ

こんな人におすすめ

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1分おとぎばなし要約 【生殖記】

 ある国に、ショウセイという男の子がいました。ショウセイは、男の子が好きでした。でも、その国では男の子と女の子が結婚して子どもをつくることが「ふつう」とされていて、みんなそれを「しあわせ」だと思っていました。
 

 ショウセイの友だちは、大人になると国を大きくするため、仕事にせいを出しました。そして結婚や子どもをつくる準備をはじめ、自分の「しあわせ」を見つけようとしています。ショウセイは、みんなとおんなじようにふるまってはいますが、本当は、国のためにがんばる気持ちや、結婚したい気持ちを、全然持っていません。生きるために必要なお金さえ稼げれば、大丈夫だと思っていたのです。
 

 ショウセイは、しあわせになれるのでしょうか。

 ある日ショウセイは、トイレの便器に座ったきり、立ち上がれなくなってしまいました。前に進むための理由がなくなってしまったのです。その時、誰かがショウセイの家のドアベルを鳴らしました。仕方なく立ち上がったショウセイ。訪ねてきたのは、一体誰だったのでしょう。

 5か月後。ショウセイの生活は変わっていました。他の人の「ふつう」とは違う、自分だけの「しあわせ」を見つけたのです。ショウセイは、わくわくする未来に最速の体感でたどり着けるように、お菓子づくりとダイエットを繰り返す日々を送っていました。ショウセイはどうやって、自分なりの”しっくり”を手に入れたのでしょうか。

みどころ

 物語では、多くの人々が「個体のや共同体の均衡、維持、拡大、発展、成長」に自分が貢献する中で幸せに辿り着こうとしている中で、尚成が同様の価値観を持ち合わせない存在として、描かれています。生殖という、人間にとって、生物学的にも社会的にも普遍とされる価値観にすら、尚成はしっくりきていません。

 ―「それでいいんだ」と思わせてくれる

 何かを生み出して、人の役に立って、成長していく・・・。日本生まれ・日本育ちの人間には、こういう積極的な価値観が染みついています。でも個人レベルでは、もうそのテンションについていけず、疲れている人も多いと思う。全員がおなじ方向を向くなんて無理があります。

 尚成は、共同体に貢献しようなんてこれっぽっちも思っていません。そして、あたかも共同体のまともな構成員であるかのように擬態していますが、自分の輪郭を見失うことなく、一歩ずつ自分だけの幸せを見つけていきます。その生き様はおかしくて。でも愛おしくて。こういう生き方もあっていいんだよなって、自分の心をもっと自由にしてあげたくなる物語でした。

こんな人におすすめ!

➤ 根拠に乏しい「常識」に違和感を感じる人。
➤ 「結婚・子育て=幸福」、「効率性・生産性=善」といった価値観が”当たり前”とされる社会に疲れた人。
➤ 同性愛者やマイノリティの視点を、深く理解したい人
➤ 世間的な”普通”から外れた生き方について、考えたい人

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